認知症介護の神経症への影響について。

どんな病気でもそうであるように、突き詰めれば

疲労とストレスが悪化の原因と言えると思います。

そういったトータルでの影響となると、具体的に

因果関係を示すのはなかなか難しいと思いますが、

個々のシチュエーションであれば、明らかに影響

を受けるので、説明は容易です。

 

例えば、両親は機嫌が良いとき、私が実家を出るのを、

見送りしてくれます。非常にありがたいのですが、

私が実家を出るときは「あれ大丈夫か?これ大丈夫か?」と、

頭は様々な確認欲求でいっぱいになっており、実は全く余裕

がありません。それでも見送りしてくれる両親を無視するわけ

にはいかないので言葉を交わし、手を振ります。確認欲求を

抑え込みながら、同時進行でするわけですが、これがかなり

頭に負荷をかけるようで、両親の目が届かないところまで来て

から、反動で確認が止まらなくなり、路上で立ち往生したり、

結局こっそり実家に引き返し、ルーティーンの確認をしたりと、

その後症状が一時的に重度化します。

 

この確認をしないように我慢するのが行動療法なのですが、

一時的とはいえ、重度化した状態で行うなのはかなり困難

です。また行動療法の効果は蓄積型ではありますが、確認を

すると効果が失われるという特徴があり、1日の枠でいえば、

それまでどんなに確認を我慢し、効果を蓄積していたとしても、

一旦ひどい確認をしてしまえば、その日の効果としては、

プラスマイナスゼロもしくはマイナスになります。

やや長期的に見ても同様で、数週間、確認の抑え込みが

うまくいっていたとしても、数日、調子が悪く、確認の

量が増えてしまえば、その数週間の効果としてはやはり

プラスマイナスゼロ、運が悪ければマイナスになります。

 

もちろん杓子定規なものではないので、数週間かけて3歩

進んだものが、ひどい確認をしても1歩後退しただけで済んで

いるのか、ゼロに戻ってしまっているのか、それはわかりません。

ただ、ここ5年ほどの症状の膠着状態を見るに、時間をかけて

蓄積した行動療法の効果も、簡単にゼロに戻る印象はあります。

 

神経症の改善には、可能な限り精神をフラットに保ち、

負荷は軽くてもいいので、大きく後退するような事態を

発生させないよう行動療法を続けることが重要です。

 

認知症の両親には「ちょっと待って」「それはやめて」と

いった声かけがほぼ通用せず、一緒に過ごすことで、

物理的にも行動にかなり制限を受けます。独特な行動を要する

神経症者としては、精神的なストレスはやむを得ずとしても、

行動療法の阻害は、無視できないマイナス因子のように

思われます・・