歯車がなかなか噛み合わず、歯車(神経)が徐々に摩耗する感触。

一気に心が折れるようなエピソードが常にあるわけでは

ありません。認知症であるが故に、エンドレスに繰り返

される同じ質問、つじつまの合わない会話、記憶がない

故に確認できない事柄の数々、毎回同じ結論でつまづく話題、

そういったものの蓄積が、ただでさえキャパシティー

失っている私の頭を早々に埋めていきます。

 

実家にはそれほど長居しない、というかできません。

概ね、結婚の話が繰り返され、居づらくなるからです。

帰る頃には、座っていても肩の力が抜けず、少し横に

なりたいくらいの疲労感です。

 

帰り道は、強迫観念に抗う気力を失い、確認を繰り返し、

”確認酔い”というものでもあるかのように気分が悪く

なります。最寄駅から自分のアパートへの帰り道は

ひどいもので、わずか10分の道のりに何度止まり、

何度振り向くのか。近くを通り過ぎた子供、高齢者、

ぶつかった感触などありません、しかし、何かあって

は困ると振り返り確認してしまいます。

 

このところ、父が買い物に行っているようです。

冷蔵庫にものが増えていることでわかります。

財布を確認すると、お金は減っていませんでした。

札入れを確認すると1万円減っていました。札入れから

1万円出し買い物に行ったのはわかりますが、では、

お釣りはどこへ?そもそも札入れの額も、毎回確認する

わけではないので、本当に1万円減ったのか、こちらも

自信が持てません。父に聞いてみますが、もちろん記憶は

ありません。まさか、誰かに借りたとかはないであろう・・

近くにサラリーローンなどありません。借りるには身分証明書

くらいいるので、父にそんな手続きができそうにないし、しそう

にない・・しかし・・と、悪い想像が止まりません。

 

誰かと不安を共有できれば・・と思います。

見回りの介護スタッフとは接しますが、毎回ちがう方で、

気軽に声をかける関係性はありません。その上、どこまで

情報を共有しているかがわからないので、どこまで話が通じ

るかもわかりません。私の悪い想像をいちいちケアマネージャー

に電話していは、ケアマネージャーがもたいないでしょう。

頭の調子が悪い時に、電話をかけなかればならないことも

ありましたが、話がまとまらず、しどろもどろで、

前任ケアマネージャーに嫌われたことと思います。

 

現時点で、これという大問題があるわけではありません。

ただ、徐々に摩耗する感触に、じっと耐えるしかないのは

なんとも不安です・・