強迫症者は、中等度に調子が悪い時、確認してもなかなか
安心が得られません。なので、何度も確認します。
ちなみに・・
①重度に調子が悪い時は、何度確認しても安心が得られない
ので、その場から動けなくなります。
②軽度に調子が悪い時は、一回確認したら安心が得られます。
③調子が良いときは、そもそも確認しません。
中等度に調子が悪いとき「何度も確認して安心を得る」という行動
を取らずに、安心しないまま、次の行動に移るのが行動療法です。
ひとつの理屈としては、確認してから安心するまでにタイムラグ
があるだけなので、安心しないまま次の行動に移り、あとでそれを
思い出しても「あ~大丈夫だわ」と思えます。
純粋にタイムラグがあるだけなら、安心を得られなくても、不安な
まま、どんどん次の行動に移ればいいだけです。時間が経てば、安心
が得られるからです。
問題は、そうでない場合もあることです。あとで思い出した時、
さらに大きな不安に襲われることがあります。「もっとしっかり
確認しておけば、こんなに苦しい思いをしなくてよかったのに」
と思います。
また、タイムラグが数分、数十分なら問題ありませんが、数日、
数週間となると精神的にもちません。そこに「不安は徐々に軽く
なっているでしょ」というのが、精神科医の弁ですが、時間の経過
と共に精神が疲弊していくので、徐々に軽くなる実感はありません。
その場で何度も確認するのを我慢した場合に起こるパターン
としては・・
①タイムラグが数分、数十分で気にならなくなる。
②数か月に渡り不安が続くのでタイムラグとは言い難い。
③あとで思い出し、さらに強い不安に襲われる。
気になる現場で①のように「少しタイムラグがあるだけ」とわかって
いたら、どんどん次の行動に移れます。それが積極的に行動療法に
臨んでいる状態と言えるでしょう。ただ、徐々にそればかりでなく
②③があるということに気付かされます。そういった経験を繰り返す
ことで行動療法も徐々に賭けの要素が増し、積極的に臨めなくなります。
「交差点で高齢者のすぐ近くを自転車で通り過ぎた」といった場合、
その場では「大丈夫」と思えなくても、タイムラグで安心できる時
が来ると思って、その場を通過します。それが数か月経っても気に
なったままの場合があります。
もはや確認しようがありません。そのとき実は高齢者は転倒していて
警察が犯人を捜しているかもしれません。ただ捜査が自分に及んでい
ないだけなのでは・・?そういった強迫観念に半年でも苦しめられる
経験をすると、誰しも行動療法に消極的になります。それはトラウマ
のようなもので、なかなか頭から抜けません。
気になる現場では常に「これはすぐ消えるパターンか?それとも長期的に
苦しむパターンか?」という選択に迫られます・・