【暗示によって強迫の改善は可能か?】
半覚醒状態では被暗示性が高まる、とい
った話はよく聞きます。では、夢の中で
暗示をかけることができれば、さらに強
い効果があるのではないか?とつい思い
ます。夢の中で暗示をかけると、潜在意
識に直接情報を刷り込むことができるよ
うな感じがして、精神疾患の改善は得ら
れやすいように思います。
夢の中で暗示をかけるには明晰夢を見る
しかありませんが、明晰夢の見方につい
ては、オーストラリアの大学で真面目に
研究されたようで、トレーニングによっ
て見ることができるようになる、という
結果が得られています。問題は睡眠障害
のリスクが伴うと思うので、強迫の改善
が見込めるという根拠がない限り、積極
的なトレーニングは避けたいところです。
②明晰夢の中で「強迫は治った」と暗示
をかける。
もしこれが可能だとして、強迫が改善する
可能性はあるでしょうか?
という質問をカウンセラーさんにしてみま
した。
(回答)暗示の効果によって、恐怖を感じ
る状況に臨みやすくなることはあるかもし
れませんが、恐怖や不安を感じなくなるこ
とは難しいと思われます。半覚醒状態に限
らず、自己暗示自体は多少効果があると言
われています。
①不安を感じる状況を乗り越えられる明確
なイメージを持つ。
②強迫観念は自分自身の考えではないとい
う、観察している「私」を意識する。
③今、この瞬間に意識を向けて何も起こっ
ていないことを感じる。
これら、これまでも行動療法で取り組んで
きたことと通じる部分はあると思います。
少なくとも「大丈夫、大丈夫~」と暗示を
かけることは、敢えて恐怖に突入する曝露
療法と逆行するので、二つの拮抗する刺激
を頭がどのように解釈するか、というのは
不明なので、安易な暗示は控えたほうが良
いかもしれません。
では安易でない暗示は?と思いますが、そ
れを専門にしている真っ当なセラピストを
探すのが難し過ぎて、期待しないほうが無
難かと思います。
【散歩中、集中力が足りなかったような気
がして不安な場合】
どんなに集中していても見落としなく完璧
に注意を払うことは難しいです。
①集中できていなかった。
②その時のことをしっかり覚えていない。
といったことから生じる不安も受け流せる
よう頑張りましょう。
【”不安は頭の中で中心からずらして、意識
は前をしっかり歩くほうに向ける”というの
を技として習得するなら、小さな不安でも
その操作をしたほうが良いか?】
小さな不安であればほっといても気にならな
くなります。そこを敢えて”不安を中心からズ
ラし、前にしっかり集中する”ことで、技とし
て確立させれば、大きな不安でも同じ操作が
できるようになるのでは?と思います。
結論的に、
①小さい不安ならほっておく。
②敢えて操作をする。
両方有益なので、両方したほうが良いようで
す。
【”不安を頭の中で中心からズラして、意識
は前をしっかり見て歩くほうに向ける”は、
果たして練習による蓄積的効果でできるよ
うになるのか、それともたまたま精神的に
やや躁状態だからできるのか?】
結論的に両方ともありと思われます。重要
なのは練習の蓄積的効果でできるようにな
るということで、ならば練習するに越した
ことはない、ということになります。