強迫性障害のカウンセリング。7月26日のトピックス。

【暗示によって強迫の改善は可能か?】

半覚醒状態では被暗示性が高まる、とい

った話はよく聞きます。では、夢の中で

暗示をかけることができれば、さらに強

い効果があるのではないか?とつい思い

ます。夢の中で暗示をかけると、潜在意

識に直接情報を刷り込むことができるよ

うな感じがして、精神疾患の改善は得ら

れやすいように思います。

 

夢の中で暗示をかけるには明晰夢を見る

しかありませんが、明晰夢の見方につい

ては、オーストラリアの大学で真面目に

研究されたようで、トレーニングによっ

て見ることができるようになる、という

結果が得られています。問題は睡眠障害

のリスクが伴うと思うので、強迫の改善

が見込めるという根拠がない限り、積極

的なトレーニングは避けたいところです。

明晰夢を見るトレーニングをする。

明晰夢の中で「強迫は治った」と暗示

をかける。

もしこれが可能だとして、強迫が改善する

可能性はあるでしょうか?

という質問をカウンセラーさんにしてみま

した。

 

(回答)暗示の効果によって、恐怖を感じ

る状況に臨みやすくなることはあるかもし

れませんが、恐怖や不安を感じなくなるこ

とは難しいと思われます。半覚醒状態に限

らず、自己暗示自体は多少効果があると言

われています。

①不安を感じる状況を乗り越えられる明確

なイメージを持つ。

②強迫観念は自分自身の考えではないとい

う、観察している「私」を意識する。

③今、この瞬間に意識を向けて何も起こっ

ていないことを感じる。

これら、これまでも行動療法で取り組んで

きたことと通じる部分はあると思います。

 

少なくとも「大丈夫、大丈夫~」と暗示を

かけることは、敢えて恐怖に突入する曝露

療法と逆行するので、二つの拮抗する刺激

を頭がどのように解釈するか、というのは

不明なので、安易な暗示は控えたほうが良

いかもしれません。

 

では安易でない暗示は?と思いますが、そ

れを専門にしている真っ当なセラピストを

探すのが難し過ぎて、期待しないほうが無

難かと思います。

 

【散歩中、集中力が足りなかったような気

がして不安な場合】

どんなに集中していても見落としなく完璧

に注意を払うことは難しいです。

①集中できていなかった。

②その時のことをしっかり覚えていない。

といったことから生じる不安も受け流せる

よう頑張りましょう。

 

【”不安は頭の中で中心からずらして、意識

は前をしっかり歩くほうに向ける”というの

を技として習得するなら、小さな不安でも

その操作をしたほうが良いか?】

小さな不安であればほっといても気にならな

くなります。そこを敢えて”不安を中心からズ

ラし、前にしっかり集中する”ことで、技とし

て確立させれば、大きな不安でも同じ操作が

できるようになるのでは?と思います。

結論的に、

①小さい不安ならほっておく。

②敢えて操作をする。

両方有益なので、両方したほうが良いようで

す。

 

【”不安を頭の中で中心からズラして、意識

は前をしっかり見て歩くほうに向ける”は、

果たして練習による蓄積的効果でできるよ

うになるのか、それともたまたま精神的に

やや躁状態だからできるのか?】

結論的に両方ともありと思われます。重要

なのは練習の蓄積的効果でできるようにな

るということで、ならば練習するに越した

ことはない、ということになります。