「強迫を治す」(本)を精読しました。

正直なところ、新たな気付きはありません

でした。著者の精神科医は自身の強迫を異

例の早さで治していますが、やはりそれは

異例であって、一般的ではないように思い

ます。

 

実際、この本を読み、著者の勤務する病院

で治療を受けている強迫の患者さんを知っ

ていますが、治っているわけではありませ

ん。

 

確かに強迫の知識は治療を助けます。この

本を何度も読み返し忘れないようにしてお

くことは大事です。ただ、あくまで治療の

土台となる知識であって、薬物治療や、特

に行動療法が楽になるかと言えば、それは

別問題です。

 

それは10mの高さで綱渡りをしているとき

に「下を見てはいけない」「地上を歩いて

いると考える」といったアドバイスのよう

なもので、手に汗握る状態を悪化させない

注意点に過ぎません。苦しいゼロ状態から

マイナスに落とさないことはできるかもし

れませんが、プラスに上げることは難しい

でしょう。

 

手に汗握る状態自体はどうすることもでき

ません。薬物療法でも実感があるほどの効

果は期待できないでしょう。あくまで薬を

止めたらわかるレベルのものだと思います。

 

強迫性障害の権威と、強迫性障害を実際に

罹患したことがある精神科医の共著なので、

これ以上のものはないとは思います。ただ、

長年強迫を罹患し、多くの本を読み、強迫

から抜け出せないでいる人を助けるか?と

言えば、それは難しいでしょう。

 

・・と悲観的な読みしかできないのは、ち

ょっと鬱が入っているかもしれません・・

(笑)